eラーニングでのサーベイフィードバック

研修を企画するときの部屋

人事領域(採用、配置、教育など)にデータを活用しようという動き。

個人のパフォーマンスや(この会社に居続けるという)定着意思にポジティブな影響を与えると言われている ”エンゲージメント” を診断するサーベイが多くの企業で行われており、主管部門では、取得したデータをヒントに施策を検討している。

以前にこのブログで「やりっぱなしのサーベイは無駄。やらないほうがマシ」と述べている。(→ 過去の関連ブログへ

サーベイ実施後のフィードバックこそが肝だ、という主張が立教大学の中原先生などの影響で広まってきているので、「サーベイ後に何か手を打たねば」という風潮が少しは出てきている。

例えば、うちの会社に来る「360度サーベイ」の相談で、サーベイ実施後に(被評価者である)マネジャーを集めて、フィードバックセッションの場を設ける企業は増えている。

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残念なのは、そういった企業の中に、

フィードバックセッションを(各マネジャーが好きな時に見られるように)eラーニング教材として用意し、非同期型で実施

という手法を取ろうとしている企業があることだ。(最近だけで2社から依頼を受けた)

どうしてそのような判断をするのか。企画側の頭の中を推測してみると、

1.企画側が、マネジャーは忙しい(ので、集められない)と思っているから
2.企画側が、マネジャーに「クソ忙しいのに時間を取りやがって」と文句を言われたくないから
3.企画側が、一堂に集まるだけの価値を感じないから
4.企画側が、マネジャーどうしでサーベイ結果を見せ合うなんてあり得ないと思っているから

こんな感じだろうか。

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それに対して、

1.と2.に関しては、企画側に役割認識と覚悟が足りないのではないか?
3.に関しては、企画側が対話の価値を知らない/対話を経験したことがないだろうなぁ
4.は、競争的な組織風土がある(出世争いが激しい)んだろうなぁ

1.~4.のすべてに関して思うのは、経営に人材育成への理解がないんだろうなぁ

と思ってしまう。

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そもそも何のためにサーベイをやるのか。マネジャーの育成・行動変容が目的なのではないのか。eラーニングを独りでみることでその目的は達成できるのだろうか。

集合型でフィードバックセッションをやったとしても、その1度きりの機会で行動変容を促すことは相当に困難である。ましてやeラーニングだけで実現なんて無理。フォローアップまで含めて施策を考えないといけない。(それくらいのエネルギーが必要なのが普通)

「忙しい」ことを理由にしていたら何もできない。幸いにも今では、zoomなどのテレビ会議システムを活用し、物理的移動を避けてフィードバックセッションは実施できる。

実施前に多少の文句が出たとしても、フィードバックセッションを良い場にすれば、そんな不満は消せる。(むしろ、マネジャーから感謝される)

マネジャーが集まって、マネジメントに関してマネジャーどうしで対話をする。互いにマネジメントスタイルを紹介することで「自分と違うなぁ」とか「似てるなぁ」とか言った感想をもちながら、より自己理解を深める。隣のマネジャーのコメントや決意表明をヒントに、自分の考えが研ぎ澄まされることも大いにある。

こんなことは、自宅で独りeラーニングを見るだけでは起こりえない効果である。

競争的な組織風土であっても、組織マネジメントに悩んでいるマネジャーはいる。他の人はどんなマネジメントをやっているのだろうかと。

サーベイ自体が評価目的ではなく、育成目的で行われていることをしっかりと担保して施策を実施すれば、皆が自分の結果をオープンにして対話することは十分に可能!(何社もそんな会社を見てきている)

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今日は、eラーニングでのサーベイ・フィードバックに関する話でした。

他の学びの場と同様に、フィードバックセッションの肝は内省と対話です。特に対話をどれだけ充実させるかです。

eラーニングに適したコンテンツがあります。使い方を誤らないようにしたいですね。

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