習慣化している(無駄な)研修の見直し

研修を企画するときの部屋

クライアントからこんな相談を受けることがあります。

毎年1回課長を集めて研修をやっているんですけど、今年は「〇〇」をテーマにしようと思っているので、提案してもらえませんか?

このような相談に対して、私は思います。

無駄だ・・・

率直に言いますと、「どういう考えで企画しているのかな」と思ってしまいます。是非一度、現場の課長さんに聞いてみてください。

昨年の内容を覚えていますか?

と。

おそらく、答えの多くは「NO」。または、「たしか、✕✕的なことだったっけ? 内容は覚えてないけど・・・」くらいがいいとこかなと思います。

客観的に、冷静に考えれば、この回答を想像できるはずです。なのに、繰り返されるこの惨事・・・。

なぜこんなことが起こるのか、仮説を2つ挙げてみます。

1.惰性
2.心理的負担

順に考えを述べます。

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1.惰性

「毎年やっているから今年もやるもの」という、”やる前提” で、思考がスタートしているかもしれません。やらないという選択肢が思いつかないのかもしれません。

恐ろしいですね。

誰の何の役にも立っていない、「年に1回の課長研修」が組織に染みつき、習慣化している・・・。

このような組織に必要なのは、いまを疑う姿勢・態度ですね。

応援団長

その研修施策、本当に必要ですか?

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2.心理的負担

何かを変えるときには大きなエネルギーが必要ですね。これまでやってきたことを否定することにもなりかねないですし、新たなことをやるには周囲の説得が必要ですしね。

そして、将来のことなど誰も確約できないですから、新たなことを上司に提案したときに、「これで本当にうまくいくんだな?」と上司に言われて、「はい、必ずうまくいきます!」と言い切れる人なんてそうはいないと思います。

ましてや、今回のケースのように、1回こっきりの研修について、「本当に成果が上がるんだな?」と上司に言われて、「YES」と言える人は世の中にいるのでしょうか・・・。

研修を企画する人が、現状の内容ややり方に疑問を抱き、変えたほうがいいのではと思っても、脳裏にはこんな考えがめぐるのではないでしょうか。

*忙しい課長さんを、年に何度も集めるなんてできない。現場から文句を言われるだけだ
*自分自身、研修で意識や行動が変わったという経験がない・・・。何かを変えてもやっぱり無駄か
*研修の成果なんて測れないし、あとで上司に詰められても何も言い返せないしなぁ

その結果、「現状のままでいっか」ということになってしまう・・・・。では、どうすれば良いのでしょうか。

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3つめに記載した、研修の成果(の測定)に関しては、是非以下の書籍を読んでみてほしいです。上司など、周囲への説明・説得に役立つヒントが満載だと思います。

そして、人の持つ可能性を信じることも必要なのではないかと思います。私見ですが、人材育成を担当する人が持っていたほうが良い信念として、

人はいつでも学べる。年齢など関係ない

といったものがあるではないかと思います。もちろん、自分自身が何歳になっても学び、変わり続けていることが理想です。

そうすれば、現状の(無駄と思える)研修施策を変えようとする際に、自信をもって上司へ説明ができるのではないかと思います。そこに、上記で紹介したような本を読んだりして、確固たる知識やスキルがあれば説得力が増し増しになるのではないでしょうか。

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今日は、習慣化している研修に関するお話でした。

毎年見直しはやっているが、心理的負担だけでなく、物理的負担(手間・コスト)もあるので、わかっちゃいるけど変えられない・・・という一面もあると思います。

あとは担当者の覚悟だと思います。繰り返しになりますが、変えることには苦労も多いですが、そのぶん、自己成長感ややりがいといった見返りは大きいはずです。誇れるキャリアとして、職務経歴書にも堂々とかける内容になると思いますよ。

応援団長

転職を勧めているわけではありません。