標準プログラムは嫌われがち

研修を企画するときの部屋

研修を扱っている会社には、当然ながら研修プログラムがある。

研修プログラムをどのように ”つくる” かは会社による。なぜ ”つくる” という言葉を平仮名にしたかというと、そこには「創る」と「作る」という漢字があるからである。

これは私の論(持論)なのだが、

研修プログラムを「創る」とは、研究者や専門家に監修を受けながら、あるいはそういった方々と協働しながら、新しい/オリジナルのコンテンツを生み出すこと
※ 標準プログラム、基本プログラム、ジェネリックプログラムなどと言ったりする

をイメージしている。一方で、

研修プログラムを「作る」とは、標準プログラムの中に含まれるパーツを切り張りして、カスタマイズしたコンテンツを生み出すこと
※ カスタマイズプログラムと呼ばれる

といった感じである。なお、どちらがいい/悪いといったものではない。

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研究者や専門家の皆さんの知見を借りながら ”創った” 研修プログラム(標準プログラム)には、当然ながら、明確な目的・ゴールが存在し、それを達成するために練りに練ったコースデザインが存在している。

コースデザインとは、目的・ゴールを達成するための手段(個人ワーク、グループワーク、レクチャー、ゲーム、ロールプレイなど)が詳細に考えられた地図のようなものだ。

※ ちなみに、「作る」ほうの研修プログラムにもコースデザインは(ちゃんとした研修会社や教育コンサルであれば)存在している。

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さて、練りに練られて ”創られた” 標準プログラムなのだが、お客様(研修担当者)に紹介すると嫌われることが多い

(研修会社の営業担当の紹介の仕方にもよるが)お客様からこのように言われる・・・

*有りもの(吊るし)を紹介されましても・・・
*うちには合わないんじゃないの? うちは特殊だし・・・
*カスタマイズできません?

そして、切り張り系の「作る」プログラム(カスタマイズプログラム)を好まれる。

「うちの課題は特殊なので、そのへんを踏まえてもらって、うちに合った提案をしてほしい」ということなのだと思う。

わかります、その気持ち。

ただ、人や組織に関する課題は、会社や組織でそう大して違わないことが結構多い。

もちろん、研修会社の営業担当者も、研修を担当する講師やファシリテーターも、クライアントや受講生の置かれている環境や事情を事前に把握・勉強したうえで対応する必要はある。

しかし、人や組織の課題解決のために必要な要素は本質的で、かつシンプルなものだったりする。それに対して、練りに練ったコースデザインによって効果的に学べるように ”創られた” のが、標準プログラムであることが多い。

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今回は、標準プログラムがお勧めですよとか、カスタマイズプログラムがダメですよとか言いたい話ではなくて、自社・自組織の課題を慎重に見極めたうえで、どういった解決策(研修プログラム)が最も良さそうかと決めたほうが良いという話でした。

その際に、杓子定規に、

標準プログラム? うちには合わないよ!

と判断しないことが大切ですよ。

研修会社にカスタマイズを希望して研修を実施してみたところ、切り張りした結果がひどくて、受講者から

*色々と学んだ気はするけど、結局は覚えていない
*覚えることが多すぎ。盛り込み過ぎだ
*パートとパートの関連性がよく分からず、ブツ切れ感がある

といった感想をもらっては、研修を実施する意味はないですからね。