目的・目標を最低2回示す

learn 研修を企画するときの部屋

私が設計・登壇する研修では、研修の目的と目標を受講者に最少で2回示します。研修時間が半日間の場合は2回ですが、それより長いと3回以上示します。

2回示す時、それは研修開始時と終了時です。それぞれに意図をもって毎回必ず示しています。

今回はその理由を示したいと思います。

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研修開始時に示す理由

企業研修の場合、研修開始時点で受講生が自ら課題認識をもって参加しているのでしょうか。

多くの場合は人事部(や研修部門)から受講を要請され、「渋々来ました」か「言われたから来ました」といった感じの意識の人が多いと思います。

私が普段ご支援しているマネジャー向けの研修は、研修開始時点でウェルカムな態度を示す人なんて、ごくごく一部しかいません。

マネジャーともなると、皆が大人(30代半ば以上)ですから決して口にはしませんが、心の中では、

* この忙しい時期に研修なんてすんなよ!
* 早く終わらないかなぁ
* なんかやらされるんかな。めんどくさいなー

といったようなことをつぶやいている人が多いのではないかと想像します。

繰り返しますが、受講者は大人です。楽しいだけの学びなんて興味を持ちません。受講者は「私の仕事の役に立つのか」という点はシビアに見ています。

ですので、現場で役立つ学びを提供するために、私のような外部の人間は受講者のことをよく勉強しなくてはなりません。例えば、

1. 会社の置かれている状況(業績、方針や戦略、組織体制)はどうか
2. 人事制度はどのようなもので、マネジャーはその制度をどのように活かしているのか
3. これまでのマネジメントスタイルはどのようなものか
4. マネジャーはどんなことに悩んでいるのか
5. 何ができていて、何ができていないのか

6. 部下はマネジャーをどう見ているのか

こういったことをよく理解したうえで研修を企画します。

そして、研修を企画する最初の作業として「目的」と「目標」をセットします。(「目標」をセットしている研修は意外と少ない → 関連ブログへ

次に、セットした「目的」と「目標」を達成するために研修プログラムをデザインします。そして研修本番へ臨みます。

研修開始時に、事前に理解した受講者の状況を踏まえ、どうして今回の研修を企画したのかを受講者(マネジャー)に説明し、受講への動機づけを図ります。

受講者が、

ほー。私の状況をよく理解しているようだな。

なるほど。確かに今のままじゃまずいかもしれないな。

と思ってくれれば成功です。研修への態度が少し前向きに変わります。そのあとに、研修の「目的」と「目標」を丁寧に示します。

そして、受講者が

まだ詳しくは分からないけど、この研修は役立つかもしれないな

と思ってくれれば、この段階では十分OKです。これで、研修内容に入る前の準備状態が整った感じになります。研修開始時に研修の「目的」「目標」を明示するのはこういった理由です。

私の場合、このあとに

応援団長
応援団長

研修の最後に「目標」の達成度合を確認しますからね。意識して受講してくださいね!

と言って、研修への導入を終え、本題に入っていきます。

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研修終了時に示す理由

応援団長
応援団長

研修の「目標」は研修終了時に価値を発揮します

どうしてかと言いますと、私の考えですが、研修終了時に「目標」を受講者に提示することで、

* 自分は研修内容を正しく理解できたのか
* 自分は今日の研修内容を漏れなく理解できているのか
* 研修内容に対する今の自分の理解状況に自信をもっていいのか
* 今日の、この(貴重な)時間を有益に過ごせたのか

が確認できるからです。

最後に「目標」を確認することで、自分の理解状況と照合し、自分にOK(目標達成)と言えるようなら、研修を受講した甲斐を感じ、自信が持て、学びを現場で実践してみようとする意欲が向上するのではないかと思っています。

もし最後に「目標」を示さずに終わると、

* 何か色々と学んだ気はする。でも、この時点での理解はこんな感じでいいのだろうか
* 一部の内容を忘れている気もするが、覚えている内容もあるし、まあ気にしなくていいっか
* 今日の研修内容を、自分は漏れなく正しく学べているのだろうか

といった状態を放置することになり、受講生はモヤっと感を抱いている可能性が大きいと思われます。そういった状態は、現場での実践への動機づけに良くない影響を及ぼすと考えられます。

だから、最後に「目標」を示し、目標達成していますか?と問いかけ、自分の理解の程度を自覚させ、OKなら自信をもって実践に臨んでもらいたいのです。もしNGなら、そこで質問を受け、理解不足やモヤっと感を解消してほしいのです。

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今日は、研修の「目的」と「目標」を示すタイミングと、その理由についてお話しました。

これまでにいろいろな研修を見てきましたが「目標」を軽く考えている研修や講師をよく見かけます。

この研修は何を達成したいのだろうかがわからないまま終わる・・・。講師は「やりきった感」を出している・・・。受講者は「なにかいいこと学べたかな感」を持っている・・・。

応援団長
応援団長

そんな「なんちゃって研修」をなくしていきたいものです。