研修にはタイミング(時機)があります。
例えば、新任管理職研修。皆さんの会社でも、初めて管理職になった人たちを対象に、就任前後に研修を行っていると思います。
これまでに、新任管理職の皆さんと研修でお会いしてきましたが、ほぼ100%の人たちが高い学習意欲を持ち、懸命に学ばれ、研修内の討議も非常に活発です。
理由は想像できますね。皆さん、喉がカラカラ状態だからです。
喉がカラカラ状態の研修として、新入社員向けの導入研修もそれに該当すると思います。
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理想を言えば、どんな研修でも、研修前に受講者の喉を渇かせておきたいのですが、そうはうまくいきません。いまの仕事で相当に悩んでいるとか、いまの業務に課題感をもっている人でない限り、喉が渇いていない状態で研修にやってきます。
研修前に少しでも受講者を動機づけるために
* 受講者の上司に頼んで、研修前に受講者に「●●を学んできてほしい」といった声をかけてもらう
* 事前課題を出して、研修内容に関連した自分の課題を考えてきてもらう
といった工夫を凝らしている会社もあると思います。
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タイミングに話を戻しますと、研修を実施する時期をもっと気にしてほしいと思います。
特にマネジャー向けの研修はそう思います。それは、喉が渇いている/いないとは別の理由からそう思います。
例えば、
* 評価者研修はいつ実施するのが良いでしょうか?
* パーパスやビジョンを考える研修はいつ実施するのが良いでしょうか?
* キャリア面談に関する研修はいつ実施するのが良いでしょうか?
* 目標設定に関する研修はいつ実施するのが良いでしょうか?
言わずもがな、ですね。
会社のマネジメントサイクルに合わせて実施するのが理想です。
そうすると、学んだことを直ぐに活用できる機会があるからです。
4月から期が始まる会社では、遅くとも5月中には当該期の目標設定が終わっているかと思います。にもかかわらず、もし「目標設定」に関する研修を6月に実施したら・・・。
「なんで先月までに教えてくれなかったんだよ!」
というクレームが出るか、
「よし、次の機会(下期 or 来期)に活用しよう!」
となったとしても、その頃には学習したことが忘却の彼方へ・・・・・となるか、です。
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最近、多くの会社から声をかけていただいているテーマ「自組織のビジョンやパーパスを考える」ような研修も同じです。
ビジョンやパーパスは組織運営を考えるときの最上位概念です。そういったものは期の初めに合わせて学ぶ機会を設定するのが、学びを実践につなげるには最適ではないでしょうか。
既に決まっている目標や方針に沿って組織が動いている中で、マネジャーが急にビジョンやパーパスが打ち出したとしたら、唐突さを感じる部下は多いと思います。
更に言えば、打ち出すビジョンやパーパスと、それまでに出している方針や目標などの要素間の整合性も気になります。
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今日は、研修を実施するタイミングに関するお話でした。1つ補足しますと、
管理職は研修で学んだことを実践することに対して、心理的なハードルを感じることがあります。部下が関わる内容であれば尚更です。
理由(のひとつ)は、今までと違ったこと部下に対して実践することへの照れくささや恥ずかしさからくるものです。(自信のなさもありますね)
この点も、研修実施のタイミングに配慮することで心理的なハードルをクリアできる可能性が高まると思います。
具体的には、新しい期の始まりや、新しい組織でのスタート時はタイミングとして最高です。なぜなら、新しいことに取組むには絶好のタイミングですし、部下(の一部)も変わっているかもしれないからです。
少しでも管理職の心理的なハードルを下げてあげることにより、彼/彼女らが学びを実践に移し、行動変容につなげられるようにしていきたいですね。