この本を読みました。
高倉千春 著『人事変革ストーリー 個と組織「共進化」の時代』光文社新書(2023)
以下の項目で感想を整理しています。
1.この本を手に取った理由
2.印象に残った箇所と考えたこと
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1.この本を手に取った理由
著者の経歴を拝見し、内資・外資の両企業で人事を経験されている中で、どのように変革を進めていかれたのかに興味を持ち、自らの業務へのヒントを得たいと思ったため。
2.印象に残った箇所と考えたこと
40ページ
ジョブ型という雇用システムは労働市場の流動化を前提としています。したがって、欧米のように、ビジネスパーソンがキャリアアップを目指して転職していくのが当たり前の社会に変わらなければ、ジョブ型を導入してもうまく機能しない可能性が高くなります。
同意。
心理的安全性を誤って解釈し、”働きやすさ” だけ推進しているような ”ぬるま湯企業” が過半を占めているような世の中であれば、人材の流動化は進まないだろうなぁ~。なんだか、一部の企業の頑張りだけではどうしようもない現実を感じてしまう・・・・。
現状維持の姿勢は後退を招くのみ。社会が変化し続けている以上、今やっている仕事の価値が低下(=処遇が低下)することはあっても、高まることはないだろうな。
そんな現状維持派を擁護する/見逃してあげる姿勢がある世の中では、人材の流動化どころか、”リスキリング” なんて到底浸透しない だろうな。
太陽で人を動かしたいが、北風も必要なのではないか・・・・。
40ページ
ジョブを創出できないジョブ型には意味はないし、ジョブ型を導入したからといってジョブが創出されるわけではない。
言われてみればその通り。
ジョブ型人材マネジメントをどうのこうのと意見を言う前に、新たなジョブが生まれていない会社はそもそも「変わらない/変わろうとしていない会社」という見方ができるのではないか。
大所高所から自社の課題を眺めて意思決定しないと、ジョブ型を導入したからといって、会社が変わるものではないことを改めて確認。
変革の目的と、目的達成のためのクリティカルな課題を常に念頭に置いていく!
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97ページ
長期雇用は、長い目で人材育成ができるという点ではメリットがあります。しかし、組織の各階層にベテラン社員が多いと、何か物事を決めようとする際に前例を踏襲したり、社内政治や根回しが多くなったりして、そこから停滞感や閉塞感がまん延する傾向は否めません。
長期雇用、つまり終身雇用を前提としてきた組織にとって、それが当たり前なので、自分たちがやっていることに違和感を感じないんだろうな。感じているとしても、それで成功してきた人が組織を運営しているので否定できないだろうし。
106ページ
日本人男性中心主義からの脱却
この点に関しては、最近読んだ、以下の本でも言っている。
*浜田敬子 著『男性中心企業の終焉』文春新書(2022年)
*ルディー和子 著『男子系企業の失敗』日経BP(2023年)
グローバルでビジネス展開を考えている日系企業にとっては、この点が変わらないと、グローバルで活躍できる人材を獲得できないんだろうな。
ダイバーシティに関する取組の重要性をますます感じる。どうやったら一気に進むのか。悩ましい。
105ページ
実際、社内には「総論賛成・各論反対」の空気がありました。(中略)年功序列の職能資格制度は崩れ、現在のポジションが再検討となる管理職が出てくる可能性があるためです。
しがらみのない人でないと組織は変えられないのだろうか。
無私な人も大変革時には必要と思われる。
ビジョンの提示も必要だが、しがらみの無さ/しがらみを無視できること、私欲の無さ/私欲を抑えられること・・・これも、変革のリーダーシップに求められる重大要素だな。
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196ページ
ジョブ型に一気に完全移行すると、社員それぞれの職務ミッションが明確になる反面、「従業員経験価値」が低下してしまう可能性があります。(中略)社員がそれぞれ得意とする領域において専門性を深めていくのは大事なことですが、変化の激しい時代の企業にとっては、特定の分野を極めているだけでなく、そのほかの幅広い分野においても精通している「T型人財」も欠かせません。
話は分かる。
ただ、スペシャリストでもなく、プロのマネジャーでもない「T型人材」って、どう育て、どう評価するのか?なんだか、会社にとって都合の良い人材(他社では通用しないゼネラリスト)に思えるんだけど。
それよりも、マネジャーとしての専門性をいかに深められるか、ミドルマネジャーのキャリア自律をどう支援するか/新陳代謝をどう促すか(促せるか)、のほうが大切な課題だと思うなー。
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245ページ
変化の激しい時代に仕事を楽しむカギは「前向きな自己否定」にあるのでしょう。(中略)今までつくり上げてきた自分の軸は大事にしながらも、自分の殻を破り、前向きに自己否定しながら新しい軸をつくっていって・・・
大事。
いくつになっても変化できる人・挑戦する人でありたい。
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途中で紹介した書籍