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”組織として” 管理職を目指したい、という人をつくるには

先週、別部屋の『ミドルマネジャーの部屋』にて、”現場を預かるマネジャーとして” 管理職を目指したい人をつくるにはどうすればいいのだろうかという点について、最近リリースされたあるレポート(※)をもとに私見を述べました。(→ 先週のブログへ

(※)あるレポートとは、こちら(EYストラテジー・アンド・コンサルティング社のサイトへ)

今回は上記レポートの中から、若手の管理職志向を高めるための ”組織のあり方” に焦点を当て、レポートに対する私の主観を2つ書きます。

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1.人事制度を自分事化させること

今回行われた調査の分析の結果、

■会社が評価・昇格基準を明確にするほど、また、目標設定等を適正に運用しているほど、個人の管理職志向は上がる

とレポートに書かれています。

レポート内に「管理職志向が高い若手は4人1人にとどまるなど、管理職になることに対して消極的」と書かれていますので、現状は「評価・昇格基準が明確でない」、あるいは「目標設定等を適正に運用できていない」ということも影響して、管理職志向を持った若手社員が少ないのだなと理解しました。

メンバーシップ型の人事制度であれば、管理職への登用基準は年次や社歴を(+未だに、大手企業であれば学歴も)基本として判断しているでしょうから、それらのデモグラフィックなもの以外の基準に基づいての管理職登用の実績がないということでしょうかね。

応援団長
応援団長

そうであれば、ずっと以前から言われていることですね。

レポートでは、示唆として、

会社が管理職のロールを明確にし、オープンにすることで、また、昇格や評価等、人事制度を適切に設計・運用し、機能させることで、管理職に対する理解を深め、将来的に管理職になるイメージを描きやすくすることが個人の管理職志向を高めるうえで重要である

と書かれています。

ジョブ型の人事制度であれば、管理職のロール(役割や発揮能力)に関する要件定義書があるはずですので、明確でオープンなはずです。それでも、上手に制度運用できていない組織が多いのではないでしょうか。

つまり、メンバーシップ型であれ、ジョブ型であれ、制度の設計よりも運用に問題があるように思います。

「人事は、制度が2割、運用が8割」という方がいます。(→ 関連する記事。「日本の人事部」さんのサイトへ

本当にそうだなと思います。しかし、現実はこんな状況ではないでしょうか。

応援団長
応援団長

採用・配置・評価・育成といった機能は管理職の役割です。(人事部門は制度や仕組みを整備したり、管理職の実行支援をする部門です)

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2.管理職同士のネットワーキング

管理職同士、忙しいときはフォローし合い、平時においても互いの業務や進捗を把握できるほど、管理職志向は上がる

らしいです。示唆としては、

管理職同士が互いに助け合い、管理職が孤独な存在ではないことが目にみえる形で分かること、また、会社が管理職の業務量を必要に応じて調整、軽減し、組織の問題として取り組んでいくことが個人の管理職志向を高めるうえで重要である

としています。

この調査は、22歳から35歳までの非管理職層の正社員を対象に調査しています。そういった調査対象者であることを踏まえますと、このような示唆に少し驚きを覚えました。

非管理職層は、管理職は孤独だとみているのか・・・と。

その立場になってみないと、管理職の孤独感は分からない気がするのですが、皆さんはどうお考えでしょうか。管理職が「私は孤独なんだよ。誰にも相談できなくて辛いんだよ」と、日常のどこかで部下に愚痴をこぼしているのでしょうか。

応援団長
応援団長

もしそうであれば、聞かされた側は「管理職になりたい」とは思わないでしょうね。

いずれにせよ、管理職同士のつながり強化は、目の前で苦しんでいる管理職を支援するために有益だと考えます。(実際に、管理職から「ヨコの繋がりが欲しい」という声を多く聞きます)

なお、話題の書籍『罰ゲーム化する管理職』(※1)の中で、著者は管理職を救うために「ネットワーク・アプローチ」として、管理職同士の繋がり強化を提言しています。(他にも、役員や外部とのネットワーキングも推奨しています)

(※1):小林祐児著『罰ゲーム化する管理職』 インターナショナル新書 2024年

注意したいのは、管理職同士のネットワークを広げるために場を用意しても、その時限りの場になりがちですので、継続的なコミュニケーションが生まれるような仕掛けを人事部門としていかに用意するかは要工夫ですね。

応援団長
応援団長

実はいま、その工夫を検討中です。皆さんの中で「うちではこんなことをやっているよ」という知見をお持ちの方がいらっしゃれば、お話しさせていただきたいです!!

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レポートには、

と書かれています。

他にも、同調査で「管理職志向が高い若手は4人に1人」となっていますが、「どちらとも言えない」と回答した人も4人に1人いるようです。

更に言えば、(始めは嫌だったけど)管理職になってみて良かったと言っている人だって結構います(※2)ので、世間で騒ぐほどに「管理職にはなりたくない」的な言説に過剰反応する必要はないのではないでしょうか。

(※2)中原淳著『駆け出しマネジャーの成長論』中央公論新社 2021年

応援団長
応援団長

ニュースを冷静に受け止めつつ、管理職の価値や意味を若手社員のみならず、現役の管理職の皆さんにも、管理職の価値や役割を明確に自覚してもらえる仕掛けを考えていきたいですね。